ケーススタディ

グローバルB2Bマーケティング戦略の統合

会社: 株式会社グロービス(東京)
事業内容: 企業研修、eラーニング
私の役割: プロダクトマーケティング シニアストラテジスト

01.

課題

背景

株式会社グロービスは、日本を代表する企業研修の提供企業であり、Nikkei 225採用企業の88%をクライアントに持っています。

しかし、日本で成功を収めているにもかかわらず、国際向けのサービスは期待ほどの成果を上げていませんでした。

私がプロダクトマーケティングストラテジストとしてグローバルB2Bチームに参加した時、その状況を改善したいと思いました。

仮説

北米やヨーロッパなどのグローバル市場での新規参入について、グロービスが既存の激しい競争に直面したのは、驚くべきことではありませんでした。

私がチームに参加したとき、各B2B製品はそれぞれ独立したマーケティング活動を行っていました。このような分断されたアプローチがグローバル展開の足かせとなっているのではないかと仮定しました。

グロービスの新規ユーザーにとって、複数のサイトを行き来しながら、自分のニーズに合った製品を見極めるのは困難な状況でした。

調査と分析

最優先事項は、グロービスの国際向けB2B市場の状況を深く理解することでした。そのために、以下の調査に着手しました:

一次調査

アメリカ、ヨーロッパ、東南アジアの全ての地域支社からの営業およびマーケティングデータを分析しました。その中で、どのサービスがどの市場で、そしてなぜ最も成功しているのかを知りたいと考えました。

二次調査

ターゲット市場の状況について広範な机上調査を主導しました。主要な競合会社はどこか。また、彼らのポジショニングは?企業研修で現在トレンドとなっているトピックとは....

結論

eラーニング市場は、ほとんどのターゲット地域において既存の競争で飽和状態であることを確認しました。しかし、ハイブリッド企業研修(ライブセッション + eラーニング)には、マーケティング戦略を変化させることで活用できる空白の領域があることが分かりました。

私は以下のようにマーケティング戦略を変化させました。

02.

行動

B2B製品の統合

新規グローバル市場に進出するためには、一つの洗練されたサービスを導入するべきだとグロービスの経営陣に提案しました。私達はブレインストーミング会議を繰り返し実施し、eラーニングと企業研修製品を統一したB2Bサービス戦略を開発しました。

その結果、世界中の企業に”ボーダレス・リーダーシップを育てる事を目的とした研修”を提供する「GLOBIS Corporate Solutions」が誕生しました。

経営陣の協力を得て、別々だったB2Bマーケティングチームを新しい国際B2B部門として一つにまとめました。

プロダクトマーケットフィット (PMF)

私が行った調査を基に、シンガポール、マレーシア、インドが最も有望なグローバル市場だという事を特定することができました。

各地域の特性に応じて、ポジショニング、マーケティングチャネル、キャッチコピーなどのマーケティング戦略を最適化しました。例えば、シンガポールのような非常に中央集権的な市場では、TechHRやCHROといった展示会での対面プレゼンテーションに焦点を当てました。

地域支社の連携

東京にあるグロービス本社のリソースは限られているため、国外の支社とのコミュニケーションを強化しました。

まず、アメリカ、ヨーロッパ、および東南アジアの支社における主要ステークホルダーに面談を行い、各々のビジネス優先事項、リソース、戦略的なギャップを理解することから始めました。

私たちは協力して、マーケティングコミュニケーション戦略と費用・利益配分のフレームワークを構築しました。私は本社チームの会計管理、経費請求処理、月次予算管理を担当しました。

統合されたCRMデータベース

支社との連携を通じ、私達のマーケティングおよび営業リードのデータベースが一元化されていないことを発見しました。

私達はベンダー企業と協力して、統合されたSalesforce CRMデータベースを導入しました。私はメール送信およびリードナーチャリングのためのCRMプロセス文書を作成し貢献しました。

リードナーチャリング

統合されたCRMを活用し、リードナーチャリング戦略の一環としてマーケティングニュースレターの管理を担当しました。

私は毎月、StripoとSalesforceを使用してニュースレターを作成し送信しました。その中では、クライアントの成功事例、企業ニュース、最新のeラーニングコースや記事のリリースを紹介しました。

SEOコンテンツ

オンライン広告は、新しいリードを獲得し、ウェブサイトへの訪問者を増やすための主要な手段でした。私達は広告キャンペーンの効果を向上させ、検索エンジンから自然に見つけてもらいやすくするために、SEO対策を施した記事コンテンツを活用しました。

2024年後半から、「GLOBIS Brief」の編集業務を担当しました。この隔週刊の出版物では、ターゲットとする意思決定者(DMU)にとって非常に関連性の高いトピックを扱った記事を掲載しています。

私は特に専門性の高い分野である 「リーダーシップにおけるアクティブ・エンパシー」についての記事を執筆し、寄稿しました。

03.

結果

ビジネス結果

統合サービスを提案してから1年後、GLOBIS Corporate Solutionsはついに同社のグローバルB2B展開において好調な進展をもたらしました。地域拠点間の協力体制と統合CRMデータベースの導入により、新規営業リードが15%増加し、合計2,800社に達しました。

売上は前年から10%増加し、GLOBISの全体で800社のクライアントと25万人の個人学習者を有する結果となりました。

私たちのSEOの取り組みも成果を上げました。特に成功した記事は、公開された月にGLOBIS Corporate Solutionsへのトラフィックの30%以上を占める貢献をしました。

学んだこと

戦略的な協力の重要性

地域の営業拠点を活用することは、グローバルな市場動向を理解する上で不可欠でした。この協力により、ローカルな知見とグローバル戦略を統合することの重要性が強調され、一貫したブランドの存在感を確立することができました。

統一されたブランドメッセージの重要性

グローバルなB2Bマーケティング部門の設立とリソースの統合は、統一されたブランドメッセージの重要な役割を示しました。

このアプローチは、グローバルなブランド認知を向上させるだけでなく、リソース配分を最適化し、マーケティング戦略のより効率的な実行につながりました。

04.

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